写真

収縮

伸びるというのは健やかで窓辺に置いた豆苗がそれぞれ高さもばらばらに伸びているのを見ると生きている感じがする。周りのドライフラワーやガラス器やヘンテコな自作の陶器たちもそれにつられて生きているような感じがする。それはおそらく大きな窓から朝の…

eternal

翳りゆく影も降り注ぐ光もそこに留まろうとしない 波の音は永遠のようで立ち去るべき時が来る 踏みならされた草はら 夢から覚め起き上がり日差しに手をかざす 体の跡を地面に残し 日常へ戻る時も夢の後を引きずっている 波間に立ち昇る声 耳を澄ませば 永遠…

サクラ

土日とも雨。桜が満開になると花散らしの雨というものが降る。それはいいとして天気が悪いとどうも体調が思わしくない。昨夜は10時前にベッドに入ったのに起きたのは8時近くで今日もとっくにエネルギーが切れている。だからこんなにダラダラ書いてるわけには…

a piece of cake

混じり合っているように思える。全く別個の物体なのに。体なのか心なのか、どこかの一部になっている。苦痛でも快楽でもなく、ただ不可思議。ただそこにいるのに隣にいないのが不思議、といつか送られてきたように。何枚か数えもしなかったプリントたちを、…

私は自分を彫刻してきた

私は自分を彫刻してきた 何か言い表わさなければならないとしたら。 マーク・マンダース展の図録を見返していたらふと浮かんできた。 完璧に構築された彫刻作品とインスタレーションの空間。 彫刻には平面作品と違う憧れを持っている。手でこねられた、打ち…

grey

つい赤いものに目がいってしまうけど赤ばかり撮りたい訳じゃない。密やかに息づくもの。上下する胸や静かな寝息のようにひっそりと佇むもの。ふっと漏れるため息が死を予感させる。死んだ魚を撮っていた時わたしはその形を見ていたのだろうか時間や記憶を見…

早稲田

自分たちが裸であるということ。肉を触り確かめ合うこと。見つめる瞳に自分が映っていること。声が互いにこだまして言葉が胸に刺さること。 こんなに急な階段を登っただろうかという記憶の不一致と光と木々の中の白い建物をぼうっと見ていたら向こうからやっ…

白日

さよならと手を上げる。そこで記憶が終わっている ロックを外す仕草をしたその手で記憶が終わっている 手を握り一瞬強く握りしめたその感覚で終わっている 堆積した時間も刻印された時間も一瞬の風で吹き飛んでしまうのでは それでも相変わらず計り難い重さ…

sofa

土曜に会える予定だったのが日曜になって土曜つまり明日にはお仕事入れて日曜の夜まで耐えなければ。昨日撮ったセルフを編集しアップしてからスーパーに買い出しに行く。途中でなんだかやり切れなくなる。欲情に襲われて。セルフには意識せずともその時の自…

noir

飲み干すとすかさず注がれるワイン グラスの傾げた湛えられた 溢れるのを待つ 待たれ溢れたなみなみと うねり溢れた液体の 機体の尾翼が触れそうになる 尖った骨の尻の上の 触れられる指が伸びる 大伽藍の窓のように ステンドグラス 薄い波打つカーテンの光…

誰かといる時は特別な時間を過ごしたい。その人といること自体が日常を外れている。鳥の囀りみたいに何を捲し立てる必要があるのか。内側の声を聞かせて。死について お尻を叩かれる。痛くて身を捩る。まだ病み上がりだというのに、まるで鬼気迫るみたいに。…

pink

折り重なったピンクのゴミ袋。その中には何が入っているんだろ あなたとの週末同じ部屋での時間。同じ朝。多分ゴミ袋を捨てに行った 夜中に玄関前に放り投げる燃えるゴミ。朝誰かが捨てに行ってくれる 桃色のベルメールの胸乳彩色された無数のゴミ溜め 欠落…

eve

目が覚めてまだ暗かった。スマホを見ると5時半。なぜこんな早く目が覚めてしまったのか訝る。うつらうつら。ただラジオをつけてベッドの中で時間が過ぎてゆく。カーテンを開ければ朝の光が差し込む 眠たくて頭がぼおっとする。サティのピアノ曲と揺蕩う。昨…

piano sonata

最近購入した眼鏡をかける。雑貨屋で見つけた紫外線とブルーライトカットという。かけると多少色がかって眩しさが減る。鼻が低いのもあるのか眼鏡というのは似合わないと決めつけてひとつも持っていなかったがかけてみたらそんなにおかしくもなかった。ちょ…

room

マックの入力に慣れない。 今朝はずいぶん夢うつつを彷徨っていた。寝る前に、、を夢想していたから、、の夢を見るし。、、、、が父親のように変換されていた。ファザコンの娘と混じり合ったのか。自分の父親ではゾッとするが近親相姦のようなイケナイことを…

filament

パソコンと格闘する 壊したりはしないけど余分なクリックはだいぶしてるし時間も湯水の如く流れ去る 液晶画面を眺めすぎか姿勢がよくなかったのか今朝は気分がすぐれない 昔首を痛めたのですぐに首から不調がやってくる プリンターと無線で繋ぎどうしてもプ…

andante

あんだんて あんだんて 私は歩く 昨日の綻びをなおすように 絡まった糸ゆるめるため 海底火山が噴火したその震動をきいていたなら私はもっとうまく歩けたんじゃないか。綻びが消えてなくなる降ってくる砂で。失われたポンペイの遺跡が動き始める。黒いハイヒ…

a black overcoat

木曜日だけど掃除をしていない。昼過ぎにやっと起き上がる。生理終わってやっと調子が出てきたと思ったのも束の間、昨夜は夜更けのコンビニへ走った。 ルマンド愛好家は確実にいるらしいが贅沢ルマンドは普通のルマンドよりおいしくない。 ベッドの中で泣き…

shibuya

まだ空の焼けたあと、日暮れ時。Tと45階の屋上に上がる。真っ黒いエレベーターに乗って、浮遊感に微かな目眩を覚えながら。どこでもない。ここは確かに東京で、渋谷だけれど、こんなにきらきらしているものが、現実とは思えない。暗闇が深いほど輝くような。…

F

朝からなぜか頭の中で、流れ出す。 飲ませてください もう少し 今夜は帰らない 帰りたくない 日曜の晴れ渡った朝だというのに、どういうわけか。理由などなくていいけど、お酒を飲み過ぎている。 フィルムを一本現像に出して、地下のスーパーに行けば、ウイ…

Journals

マーク・マンダース。机の下に堆積した砂場にあるような砂の塊は変容した身体のようにも溶けた時間のようにも見える。ひび割れた粘土のように見えるブロンズ。凍結し、置かれ、沈んでいる。固定するロープは縛りつけているのに自由を思う。88%の椅子。圧縮、…

灰色

生まれ変わったら何になろうか 虹色の蝶かな 両の羽の鱗粉を飛ばして きらきら光って消える ニケの翼みたいに 剥がれ落ちた一枚一枚の鱗 かき集めたら手の上に乗せて あなたの手を握れない 生まれ変わったら 赤い心臓も石にして くれなゐの、くれなゐの マリ…

sweetest

テレビを消すと秋虫の声が聞こえる。もう秋だ。 Nと初めて会ったのは10月だった。秋のこと。 くだらない思いは捨てて みんな死ぬんだよ 帰りの重たい電車に乗って 君は死ぬんだよ 甘い冬の思い出 はちみつ大根をつくった ずっと喉が痛いから 白い大根の溶け…

ataraxia

ataraxia アタラクシア、心の平静不動な状態。 通ってる病院のすぐ近くには昭和記念公園があって、ほとんど病院に行く度に散策している。全部歩こうと思ったら一日がかりになりそうなほど広大な公園。 門を入って目の前に広がる緑。だだっぴろい緑鮮やかなく…

per fumare

per fumare 煙を通じて 朝食。コーヒー、ミニトマトとルッコラとゆで卵のサラダ、ヨーグルトに蜂蜜、ミューズリーに豆乳。金曜日にパン屋に行ったら食パンが売り切れだったから代わりに他の食事系のパンを買ったけど、いつものトースト写真が撮れない。 広瀬…