eve

目が覚めてまだ暗かった。スマホを見ると5時半。なぜこんな早く目が覚めてしまったのか訝る。うつらうつら。ただラジオをつけてベッドの中で時間が過ぎてゆく。カーテンを開ければ朝の光が差し込む

眠たくて頭がぼおっとする。サティのピアノ曲と揺蕩う。昨日見た白蟻に喰われた穴だらけの紙を思い出す。アフリカの人々が茶色っぽく描かれていた。あの世ともこの世とも知れない。歪められたキャンバスと絵の具の堆積物より触れられるような紙の絵。蛸の足の描かれた陶器や一本の線でいくつかの陶器をぎゅっと結びつけた家族という作品。原始を内包しながら現代であるその陶器を抱きしめたい。そして海に浮かんでみよう。作者のミケル・バルセロはスペインのマジョルカ島の生まれだという

地図で見てみるとスペインの東、地中海の西の端に位置するリゾート地。すぐ下にはアルジェリア、つまりはアフリカ大陸がある。アフリカと聞いて遠い場所かと想像していた。少しクリーム色のかかった白のイメージ。カラフルな服装や装身具ではなくそんな白に粒々の入ったアフリカを想像してみる。砂は舞い、水は枯れ

窓の外には常緑樹が冬の光を浴びている。気温も上がってきたよう。

ラクタ市で購入した限りなく透明で角の削られた棒状のガラスを手に取ってみる。

これが何かの骨であったなら、そこには生も死も存在しないだろう

 

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