耳元に顔を寄せれば私の匂いがする。情景の繰り返し。 子供の頃行った海水浴場の潮の匂い。他の海ではそんな匂いはしなかった。目でもなく耳でもなく、結び付いた記憶が身体中に満ちる。見えないもの、聞こえないもののほうがより大きな体積を持つ。 耳元に…
雨音が家を打っている。部屋の中だから濡れることはないけれど、家の様々な部分に当たりその分いろいろな音を響かせるから、ちょっと煩いよう。強すぎるので心地よくない。窓を見れば木の葉が風に揺れている。静けさには影があり、それが詩なのだというよう…
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