2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

天使の落下

天使の落下 生まれ落ちてから落下し続ける イメージの深淵へ 立ち上る煙幕の向こう 見開き閉じられた目で 触れようとする泉 歩かないで 走らないで 落下の速度は計り知れない 落下するものたちが見える 絶望した人たち 還っていく あの場所へ 水底の瞳 ヴェ…

mysterious

誤解されやすい。そんなつもりで言ったんじゃないのに。あなたの言っていることがわからない。わかり合うのはそんなに難しいことなんだろうか。所詮他人だから。ミステリアス。わざわざ謎を作ってるわけじゃない。 一緒に深い時間を過ごしませんか? 指先の…

shibuya

まだ空の焼けたあと、日暮れ時。Tと45階の屋上に上がる。真っ黒いエレベーターに乗って、浮遊感に微かな目眩を覚えながら。どこでもない。ここは確かに東京で、渋谷だけれど、こんなにきらきらしているものが、現実とは思えない。暗闇が深いほど輝くような。…

F

朝からなぜか頭の中で、流れ出す。 飲ませてください もう少し 今夜は帰らない 帰りたくない 日曜の晴れ渡った朝だというのに、どういうわけか。理由などなくていいけど、お酒を飲み過ぎている。 フィルムを一本現像に出して、地下のスーパーに行けば、ウイ…

何を体が欲しているのか

レシートを見て確認する また6杯 銀座の夜は心地いい 5杯で調和、6杯で破綻 階段の上で振り返る 変な格好だったかしら 酔っ払いだと思われたかしら カウンターのいつもの端っこ 引き戸の向こうの厨房では どんな秘密が行われてるのか ひょっと白服の男が氷を…

one day

記事を書く、のボタンを押す。白紙の中に惑う時間。些事より印象だけ残したいと思うけれど些事の中に大事があるかもしれない。 コンビニでワインのボトルの中からラベルの気に入ったイタリアのサンジョヴェーゼを買う。この前のお店で飲んだのと同じ。偶然か…

afterward

ベッドの向かい、テレビの前に置かれた黒い箱の花。枯れることのない、半永久的に保たれた色とりどりの花。黒い箱も真っ黒な髪留めもリーデルのワイングラスも蜂蜜の空瓶も棺のよう。隣には昔Amazonのウィッシュリストに冗談で載せておいて贈られてきた鹿の…

Journals

マーク・マンダース。机の下に堆積した砂場にあるような砂の塊は変容した身体のようにも溶けた時間のようにも見える。ひび割れた粘土のように見えるブロンズ。凍結し、置かれ、沈んでいる。固定するロープは縛りつけているのに自由を思う。88%の椅子。圧縮、…

おいしいもの

見知らぬ人と会ってみる。そんなことは無限にしてきた。それでも何か新鮮だ。新鮮さ。毎日ひとに会っているひとはそんな新鮮さも薄れるんだろうか。人間に飽きるということは起きるんだろうか。毎夜男を受け入れている女は不感症になるのだろうか。 暑い。ウ…

現想と幻実

アーシュラ・K・ル=グウィンの「現想と幻実」。原題は「THE UNREAL AND THE REAL」。なんだか混乱する。現想篇まで読み終わる。 金曜日。朝から決めていた。五反田へ行って、銀座へ行って。もう予約済み。これ以上我慢してたら体に悪い。朝食をヨーグルトと…

睡眠不足

朝4時半に目が覚める。いや3時半だったか。まだ真っ暗。もっと寝ていたいのに。入院前も早朝に目が覚めていたがこんな夜中に目が覚めることはなかった。歯のゴムかけが圧迫になっているのか、よくわからない。少なくとも家ではゆっくり寝たい。 どこにも出か…

オペ

Operation 女性 (医療) 手術。 (軍事) 作戦。戦略。 (数学, 情報技術) 演算。 冷たい目をした麻酔医に心奪われる。左手の甲にすっと針を刺される。心地よい痛み。だんだん目を開けていられなくなる。もう目覚めなくていいのに。あなたのいない世界。家庭内の…

female

七宝焼の小さなカップにウイスキーを注いで飲む。無音に浸る。酔いだけ廻る。宇宙のような星降る器。ストレートはさすがに酔う。通りの車の音。お酒を飲む時は何もしないのが気持ちいい。と言ってこんなのを書いている。昨日会った人からラインが来る。Nにメ…

フルーツパフェ

素知らぬ顔で通り過ぎた あなたは仮面を被ってる 季節外れの蝉の声 あなたのそっと呻く声 汽笛のように遠くから あなたのため息が聞こえる 一時間もかかりはしない場所で 通せんぼ あなたじゃない人と フルーツパフェを食べた どろっと 仮面剥がれ落ちる 音