2024-01-01から1年間の記事一覧

収縮

伸びるというのは健やかで窓辺に置いた豆苗がそれぞれ高さもばらばらに伸びているのを見ると生きている感じがする。周りのドライフラワーやガラス器やヘンテコな自作の陶器たちもそれにつられて生きているような感じがする。それはおそらく大きな窓から朝の…

desiderium

ふと口から漏れた言葉が「共鳴している」人伝てにでも探し物をしたわけでもなくただ降りてきたただ言葉となって繰り返されないただ一語をあなたは繰り返す 色の溢れたゴテゴテした場所ではなく無機的な部屋がいいのは交わるものに色が付いていないから目を閉…

in silence

手と手が重なり両胸を温める。温もりは去らなかった 秘密が重なって繋がれて行く。箱を開けて二人だけのものにする 言葉のない夜の時間。灯りをともせば口元がほころぶ 交わした言葉の上に立って沈黙する。足元を見ることなく 差し込む光に貫かれる。眼裏にも

夢を見ていた。道に立っていて何かを待っていたらそこは中華料理店に入る列になっていてそのまま入ってしまい3500円のコースを二人分頼んだ。あの人を待っている。なかなか来ない。随分待っていた気がする。結局来たのか来なかったのか、夢はもうあやふやに…

grey

灰色の本を手に取る時 灰色の風景がひろがる 色はまやかし、まやかしは現実 冬の水たまり 薄く凍った面に灰色の空がひろがる ある日の雪が 全ての面を隠匿する

naked

自然であるとはどういうことか。生まれ落ちたままの姿で微笑んでいる。化粧は剥げひどい顔だけれど、安らか、平穏、愛に満ちた時間というものがそのまま表れている。そこに生まれ落ちたかのように。過去も未来もない、ただその時間がある。何かを身につける…

あさ

あしたに鴉が鳴くという 夢の錘も眠たげに 風見鶏たち巡らせて ひとつ吐息を吐くという 朝靄に消えていった針鼠 怒った太陽の影法師

火の玉

水底に沈んだ欠片が浮かび上がるようにぼっと灯される火は そこら辺の草を噛んだ苦い味 暖かいのに冷たくて握りしめることも叶わない 投げ捨てた鏡の欠片が時折鋭く光るたび 一条の線が刻まれて心臓は傷だらけになった風に 見えましただから今でも心をしんと…

大崎

何も書く必要がないような気がするところをあえて書いてみるとどうなるのか。大概はそんな書き方をしている。今といえば即席チゲ鍋を食べて暖房の効いた部屋で汗ばむほどだが冬もようやく本番となりまだベッドの中にいる時にザクザクと霜柱を踏む音が聞こえ…