2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

passage

passage 通りすがり 小学生の時外国から転校生が来たことがある。もしかしたら中国人や韓国人はいたかもしれないが外見であきらかに自分達と違う子、というのは初めてだった。中東かアフリカの方かよく覚えてないが髪が縮れていた気がする。どうしてそんな状…

noir

飲み干すとすかさず注がれるワイン グラスの傾げた湛えられた 溢れるのを待つ 待たれ溢れたなみなみと うねり溢れた液体の 機体の尾翼が触れそうになる 尖った骨の尻の上の 触れられる指が伸びる 大伽藍の窓のように ステンドグラス 薄い波打つカーテンの光…

「キャロル」

昨夜は指を入れてしまった。内臓に触れるかのように。村田沙耶香の「変半身」にそんなような描写があった。たまに下着の上から触ることはあっても直接指で触ることはめったにない。お腹に力を入れ、膣を収縮させ、悶えるだけで終わる、いつもは。夜の時間、…

klepsydra

気圏にさまようあの構想の魂が彼を襲った。彼は夢の共和国を、詩の主権領土を宣言した。何万エーカーとかの地域、森のあいだに投げ込まれた布切れーーそこに彼は幻想の専制を声明した。・・・・・・狼や盗賊に追われた人は砦の門に辿り着けば救われる。勝利のなか…

暗い旅

地下鉄を歩いていてふと街で出会うあり得ない確率を思う。どんな顔をするだろう。あなた、あなたと呼びかけ続ける倉橋由美子の「暗い旅」を読んでいたせいで。あなた、と呼びかけられる主人公が悲嘆の涙に暮れ絶望の淵に落とされる度に私は甘美な気持ちにな…

誰かといる時は特別な時間を過ごしたい。その人といること自体が日常を外れている。鳥の囀りみたいに何を捲し立てる必要があるのか。内側の声を聞かせて。死について お尻を叩かれる。痛くて身を捩る。まだ病み上がりだというのに、まるで鬼気迫るみたいに。…

二月の雪

そのうち物語で溢れてしまうんじゃないか。なんだか胸がいっぱい。あなたの、あなたの記憶。数え切れないほどのあなた。瞬時に降り積もっていく記憶はすぐにあなたを甦らせる。戻ることのないあなた 翌日の午後になってようやく返事が返ってきて狂喜する。嫌…

tattoo

テーラーという職業といい喋り方といい匂いフェチやら無理矢理されることに興奮するみたいな変態さといい漫画みたいだなと思いながらも肩の後ろのそんなに大きくはないが龍の刺青が仕立てられた上質のスーツの中に埋まっているなんてやっぱりこれは漫画では…

pink

折り重なったピンクのゴミ袋。その中には何が入っているんだろ あなたとの週末同じ部屋での時間。同じ朝。多分ゴミ袋を捨てに行った 夜中に玄関前に放り投げる燃えるゴミ。朝誰かが捨てに行ってくれる 桃色のベルメールの胸乳彩色された無数のゴミ溜め 欠落…

あんプレス

Kは音信不通、Hはオミクロンで回復まで時間かかりそう。そんな何日も熱が下がらないなんて。最後にしたのが18日でそれからまだ二週間と数日しか経ってないのか。随分してないような気がする。その後ひとり、ほんとの狩りもする人と会ったけど食事しただけだ…

eve

目が覚めてまだ暗かった。スマホを見ると5時半。なぜこんな早く目が覚めてしまったのか訝る。うつらうつら。ただラジオをつけてベッドの中で時間が過ぎてゆく。カーテンを開ければ朝の光が差し込む 眠たくて頭がぼおっとする。サティのピアノ曲と揺蕩う。昨…