passage

passage  通りすがり

 

小学生の時外国から転校生が来たことがある。もしかしたら中国人や韓国人はいたかもしれないが外見であきらかに自分達と違う子、というのは初めてだった。中東かアフリカの方かよく覚えてないが髪が縮れていた気がする。どうしてそんな状況になったのかも覚えてない。校庭の中心で確か二人の姉妹を遠巻きに校庭中の子どもらが囲んでいる。囃し立てるわけでもない。ただざわざわと囲んでいる。二人は怖くて泣き出している。東京23区の外れの小学校で起きた数十年前の出来事。

異質でしかも「弱そう」なものは排除される。これを同調圧力と言うのだろうか。ほとんど無意識に。

「群衆とはヴェールであって」

個人は隠れ蓑の中にいる。私は私という個人や出会う人という個人や、イメージ、幻想の中の個人や、会ったこともない個人を思う。そしてまた閉鎖的で鎖国状態と言われるまでのこの国を思う。

人生のパサージュで