2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

溜池山王

マダム・エドワルダは片足を高く上げ自分のぼろぎれを見せつける。毛むくじゃらで湿り気を帯びた蛸のように蠢くぼろぎれを... 変わった作りの部屋だった。広くはあるけれど入ってすぐ右側に大きなクローゼットとその横にグラスやらコーヒーメーカーやらミニ…

moved

存在があやふやになった時書くのかもしれない。 ふわりとした時、多像のようになった時、かすれて痕が滲む時、揺さぶられた揺り動かされた時。そういえば英語で感動はmovedという。存在自体が危うい時も身が宙に浮いているように心地いい時もある。動かされ…

Tokyo Sta.

アメリカのドラマで笑い転げたのに見終えたらしんと部屋は静まりかえっている。部屋の隅に50センチほどの鏡が立て掛けてあって事あるごとに自分の姿を確認する。足だったり体だったり顔だったり。全身を映すほどの大きさはないから。さっきまで笑っていた顔…

安全な場所

ずいぶん働いた。自分は働き者かと勘違いするほど。4連勤とはいえたいした時間ではないけれど。肌に触れる、触れられるのが喜びとなる。お互いが心を許している時に。もしかしたら深く根付いた孤独というものを無意識に慰めてるのかもしれない。電車で見知ら…

白日

さよならと手を上げる。そこで記憶が終わっている ロックを外す仕草をしたその手で記憶が終わっている 手を握り一瞬強く握りしめたその感覚で終わっている 堆積した時間も刻印された時間も一瞬の風で吹き飛んでしまうのでは それでも相変わらず計り難い重さ…