「キャロル」

昨夜は指を入れてしまった。内臓に触れるかのように。村田沙耶香の「変半身」にそんなような描写があった。たまに下着の上から触ることはあっても直接指で触ることはめったにない。お腹に力を入れ、膣を収縮させ、悶えるだけで終わる、いつもは。夜の時間、「キャロル」を見て最後の燃えるような眼差しの交差に、エンドロールで涙が溢れる。恋に落ちるのは息が止まることだと。恋をしてるわけでもないのに。私は何に恋をしている?、、とのセックスが蘇ってしまいながら、と言ってもしょっちゅう思い返してしまうのだけど、我慢できなくなる。

中は充分に濡れている。温かくざらざらと何かの温床のように、恩寵のように、力を入れると指は圧迫されぬるぬると曲線の壁をさ迷う。力を込め壁を押し返すと少しの快感を得る。掻き回す音を聞いてから指を取り出す。指を鼻に持っていきこの匂いをTは嗅いでいるのだなと思う。自分の匂いしかしらない、ひとのを嗅いで、もしかしたら舐めてみたくなる。舌を柔らかくして這わせて。ポチ、自分で指入れちゃった。。とラインする。Tはすっかりポチになっている。

数日後にTに会う。二回目は鬼門なのだ。気持ちよくなれるだろうか。お互い齟齬をきたさず、体を委ねるだけでいい