おいしいもの

見知らぬ人と会ってみる。そんなことは無限にしてきた。それでも何か新鮮だ。新鮮さ。毎日ひとに会っているひとはそんな新鮮さも薄れるんだろうか。人間に飽きるということは起きるんだろうか。毎夜男を受け入れている女は不感症になるのだろうか。

暑い。ウイスキーだけのせいとも思えない。溢れる言葉を急激に浴びて、エネルギーを消費した。25で無理やり起業して、ビジネスおたくだという50の男。スマートとは言えない挙動。常に情報が飛び込んでくるという、取り外せないアンテナ。街で写真を撮ることに似ている。剥き出しなところも少し似ている。肩から腕に入ったタトゥーをまじまじと眺める。そこにどんな歴史があるのかと。

足を褒めてくれた人はだいたい許せる。色っぽい、きれい、なんでもいい。褒めてくれた人はだいたい許せる。おいしいもの食べさすから、それでだいたいみんな許せる。それがほんとにおいしいものかどうか、わからないけど。