2021-10-31 天使の落下 詩 天使の落下 生まれ落ちてから落下し続ける イメージの深淵へ 立ち上る煙幕の向こう 見開き閉じられた目で 触れようとする泉 歩かないで 走らないで 落下の速度は計り知れない 落下するものたちが見える 絶望した人たち 還っていく あの場所へ 水底の瞳 ヴェールが剥ぎ取られる 私は裸 あなたも 湿り気を帯びた真空地帯 いきつくところ ほの暗きあの場所にて邂逅し繋がる血管は脈打ち始める なんという高揚と静けさ 手を握りしめる 誰とも知れない