2021-09-15 前夜 日記 去年のこの日、葉山の一色海岸へ行っていた。豊饒の海へ導かれるように。遠い海の記憶。あれがたった一年前のことだなんて。 今は海の、波の音ではなく秋虫の合唱が聴こえる。公園ではもう彼岸花。 紺の麻のワンピースの記憶。波が足を洗っていった。 悪夢のような病院の記憶。 そんなものは遥かかなたに置いてきた 四人部屋。カーテンは皆閉ざされていて声だけ聞こえる。この部屋も手術までの間だけだけど。 食事がけっこうおいしかった。ちゃんと味がして。 眠れるのかな。 あと二時間ほどで消灯。