蹴りたい壁

バックスペースを押し続ける音が心音のようだった

ミルタザピンという抗うつ剤を飲み始めて寝過ぎてしまう

気付けば9時という

一回だけ会った学生君はもうやり取りは途絶えていたけれど

ふと見たら距離表示が7400kmになっていたから

メッセージを送って見たらその居る場所とは何の関係もない

以前と同じたわいも無い言葉が返ってきて

不思議な気持ちになる

そこに居ることがなんの不思議でもないような

送られてきた言葉に距離は計り知れない

画面にぽつんと置いてけぼりみたいな

私の言葉も置かれたままになっている言葉たちも

見えない相手とあるいは会ったことのある相手でも

距離を狭めるにはどうしたらいいだろう

遠い相手と交信してるかのような

中井久夫の本に日本語は文章の終わり方が難しいとあった

文末でひっくり返すこともできるし数限りない結び方

断定することを恐れてあるいは避けようとする

自信がない

日本語は水飴みたいに連なっているという

ならチョキンチョキンと切ってしまえばどうか

眠気が強い

靴をまた二足買った

靴だけはいいものを履いてたいな

沈潜

いとこに二人目が生まれたらしい

遠い国の出来事のようだ