明るい部屋

鏡ばかり見ていた。不確定な自分の顔。母親はそんな変わってないと言う。私はまだ慣れない。特に何も聞かなかったから、どこをどう切ったのかとか、レントゲンもちゃんと見てない。口の周りの痺れた感じ。バンドを外した翌日が一番顔がぱんぱんになってそれから徐々にひいていった。いっとき食パンかお饅頭のようになった。何度も鏡で確かめる。前の顔はどうだったっけ。ゴムかけをしてだいぶ噛み合わせが合うようになってきた。たくさん自撮りをした。それでも足りない。

二週間ぶりに戻ってきた家の匂い。枯れた植物は枯れたまま、生きているものも枯れかけている。あるものがあるべき場所に。持っていったクッションをもとのソファーの上に置く。ここは自分の部屋だ。何かが生まれる場所。

荷物を整理して息をつく。まだすばやく動けない。名刺を手に取り電話をかける。、、です。声がわからない。、、さん!?元気のない声。なんだ、生きてた。いなくなってなかった。消えてなかった。すぐそこにいる。それだけでいいや。生きてれば、また会えるかもしれない。たくさんの消えていった人たち。私はひとりでこの部屋にいる。