2021-12-01 北へ 詩 飛行船の目指す方角は 北へ 白い林檎をかじったら 北へ 円い目をした門番をくぐり抜けたら 北へ 暑くて窓を開ける 曇った息が飛び去る 北へ もう見る必要はないのだから 重なる手は冷たく温かく こぼれ落ちる水は掴めず みぞおちまで埋まってしまった 喧騒は後退り 湖の音しか聞こえない