encounter

あと数日。展示を見に行くのも最後だろう。銀座に決める。特別人が混み合うこともないし、華やぎがある。モノクロームの濃淡のある水玉のワンピース。気持ちも体もぐったりと重たい。横になってしまいたい。縦を横に。重力に従って。でも、行かなくちゃいけない。ガーターベルトをつけてストッキングはいて。これに黒いヒールを履いてけばいい。頭に黒いレースのスカーフをヘアバンドのように巻いて。化粧も上手くいった。red seaという名のパレット。海に溶けた太陽。熱を感じる。37.1度。生理前。しばらくしてからもう一度測る。36.8度。大丈夫。

7.5センチ。こないだの10センチからするとなんでもないかのように歩ける。それでも体の中心を意識する。

一歩一歩が責め苦となると感じた時があった。地面を踏みしめ蹴る。今はそんなに辛くない。何が見えるだろうか。電車内で吉田健一を読む。金沢の街。車窓を景色が流れる中で浮かぶ仄かな色。酔い心地。

私には見て歩くことが必要なのだ。見て食べて味わって、写真を撮る。街を歩く。きょろきょろしている。黒い影。影が影に出会う。びっくりする。まじまじと見る。心臓を掴まれる。イチゴショートに群がる鳥。運命はこうして起きる。村上早の銅版画。

共振というのだろうか。揺さぶられる感覚

真っ赤なイチゴは心臓だった

帰宅してしばらくするとどっと疲れが出る。