the winter solstice

solstice (太陽の)至(し)、最高点、極点

今年の冬至は22日。去年は21日だった。自分が冬至生まれだと確か去年思ったのだった。一年で一番昼が短く、夜が長い。それまで単にクリスマスに近くてちょっと損だけど楽しい誕生日ぐらいにしか思ってなかった。街は賑やかで光に彩られ浮き立ち混雑している。

極点。私はやはり極北に行くべきでは

前夜の銀座。まさか一番好きなお店で誕生日を祝ってもらえるなんて。信じ難い。Hとはやっぱり気取らない店のほうがいいなと感じつつ、店の中でセックスまでしてしまいたくなるような、猥雑でおいしい料理と赤ワインを味わう。いつもよりちょっといいワインの香りにくらくらしながら。

あまり遅くまではだめな人だから時間が気になってデザートは無しかなと思ったけど急ぐそぶりもなくいいよと言ってくれたのでメニューの中から林檎のデザートを選ぶ。カウンターでお店の人との会話が楽しい。明日誕生日なんです。盛り合わせにしますか?いえ、名前だけ書いてもらえれば。紅玉のパイ包みにカルヴァドスのアイス添え。それに甘口ワインのジュランソン。りんごみたいな酸味があってとても合う。

チョコレートで書かれた名前と一本の蝋燭。あの人の誕生日の時も聴いた手回しオルゴールを今度はなんだか神妙な気分で、澄んだ音色に耳をすます。ささやかで洒落たサービスだなと。ざわめきの中で自分だけに向けられた清らかな音。神妙な気分になったのは少し、この世に生まれてきたことが頭をよぎったからかも。

一番長い夜の日に