sicut cadaver

きりきり舞い

きりもみ

体ごと何処かへ

打ち寄せる

しかばねの

避けられるだろうか

踏まれるだろうか

あるいは鴉に

まだ温い

砂のようなシーツ

 

うとうとしている腕や背中を指でなぞる。その手首にはゴールドの華奢なブレスレットの鎖が揺れて光るのを見ながら、手を逆さまにして触れる。ごく近い、目の前の体。最後、数ヶ月前に会った時はキスもしてくれなかったような気がする。今日は最初からキスしてくれた。魅力的になった?それともそんな気分?シャネルの赤い口紅。付けないでねと最初に言われて、白いワイシャツを見る。

痛みと辱めの後にやってくる恍惚。

アテもない、ただ待っている時間。Tさんが、ソファーを向かい合わせにして両脚を愛撫してから屈みこんで股の中に顔を埋めて、香水を一吹きされたその匂いを思い切り吸い込んでから、下着を指でずらして、入り込んだ舌の感触を思い出していた。何回も。電車の中でも。その内部がどうなっていたのか、こちらにはわからないけれど。

一回ごとに完結するのがセフレだとしたら、共同か共謀か、時間が連綿と流れるのがお付き合いというものだろうか。一週間以上続いた高熱からようやく脱して屍のようになりながらも歩みを進め始めたらしいTさんにいつ会えるのかはわからないけれど。でも今日出社したというし。まだ髪を切った私の姿も見ていない。

出会いもあったろうし、夏を楽しんだだろうし。

あなたのことばかり考えていたというのに

交わした眼差しのこと