grey

つい赤いものに目がいってしまうけど赤ばかり撮りたい訳じゃない。密やかに息づくもの。上下する胸や静かな寝息のようにひっそりと佇むもの。ふっと漏れるため息が死を予感させる。死んだ魚を撮っていた時わたしはその形を見ていたのだろうか時間や記憶を見ていたのだろうか。映画は時間の彫刻だとタルコフスキーは書いていた。ならば写真は瞬間の彫刻だろうか。そこに存在するもの。一枚には「今」しか彫刻できない。よろよろと辿り着いた果て。果てはこの先も続いていくけれど自分の影にサヨナラする時本当の果てになりふっと最後に吐き出した息は微かにグレーがかっているかもしれない。