錦糸町

錦糸町。という言葉だけでよみがえる。ホテル街。バリアン。駅ビルの寿司屋から見えたスカイツリー。10年に一度ともアナウンスされる寒波に吹き飛ばされそうな夜帰宅して翌朝を憂いながら眠りにつく。道路が凍りませんように。心も凍りませんように。暖かい部屋で暖まれますように。包まれ溶けて海のように塩辛い水を吐き出してしまえるように。今までとなんて違うんだろう。薄暗くて妖しげな廊下には錦糸町という言葉が浮かんだけれど明るい部屋。窓からは穏やかな日の光。外は凍える寒さだけど、憂うことなど何もなかった。失敗はワインを飲みすぎたことだけ。お互いの高揚感の仕業。

他に何も無くても僕がいるから

記憶は更新されない、重なっていく。明るい部屋とふかふかのベッドと枕の記憶。埋もれて天国へ行ってまた引き戻された記憶