2021-01-01から1年間の記事一覧

オペ

Operation 女性 (医療) 手術。 (軍事) 作戦。戦略。 (数学, 情報技術) 演算。 冷たい目をした麻酔医に心奪われる。左手の甲にすっと針を刺される。心地よい痛み。だんだん目を開けていられなくなる。もう目覚めなくていいのに。あなたのいない世界。家庭内の…

female

七宝焼の小さなカップにウイスキーを注いで飲む。無音に浸る。酔いだけ廻る。宇宙のような星降る器。ストレートはさすがに酔う。通りの車の音。お酒を飲む時は何もしないのが気持ちいい。と言ってこんなのを書いている。昨日会った人からラインが来る。Nにメ…

フルーツパフェ

素知らぬ顔で通り過ぎた あなたは仮面を被ってる 季節外れの蝉の声 あなたのそっと呻く声 汽笛のように遠くから あなたのため息が聞こえる 一時間もかかりはしない場所で 通せんぼ あなたじゃない人と フルーツパフェを食べた どろっと 仮面剥がれ落ちる 音

明るい部屋

鏡ばかり見ていた。不確定な自分の顔。母親はそんな変わってないと言う。私はまだ慣れない。特に何も聞かなかったから、どこをどう切ったのかとか、レントゲンもちゃんと見てない。口の周りの痺れた感じ。バンドを外した翌日が一番顔がぱんぱんになってそれ…

一週間目

それほど殺風景でもない、クリーム色の空間にいる。大きな窓がさっきから時々稲光り。何かの信号なのではないか。さっきは冷房で凍えていた。毛布にくるまってままよとナースコールを押し持参の頓服をもらう。持参の薬は管理されている。クリーム色というよ…

前夜

去年のこの日、葉山の一色海岸へ行っていた。豊饒の海へ導かれるように。遠い海の記憶。あれがたった一年前のことだなんて。 今は海の、波の音ではなく秋虫の合唱が聴こえる。公園ではもう彼岸花。 紺の麻のワンピースの記憶。波が足を洗っていった。 悪夢の…

next

キスがしたい。入ってきて欲しい。この前焦らされた。笑みを浮かべながら。 遊んでる。弄ばれてる?お互いが遊んでる。 それぞれの世界で 真っ赤な嘘。真実、日の丸、情熱、血糊。 今夜も赤ワイン。赤いローストビーフ 今夜も遅いんだろうか。 二頭の鹿が描…

病院

9時半の予約。スクリーニング検査、とは可能性のある人を見つけるための検査。PCR、とは「ポリメラーゼ連鎖反応」(Polymerase Chain Reaction)の略でウイルス等のDNAを増幅させて検出する方法。前に、民間でやってる二千円くらいで受けられる唾液の検査は…

灰色

生まれ変わったら何になろうか 虹色の蝶かな 両の羽の鱗粉を飛ばして きらきら光って消える ニケの翼みたいに 剥がれ落ちた一枚一枚の鱗 かき集めたら手の上に乗せて あなたの手を握れない 生まれ変わったら 赤い心臓も石にして くれなゐの、くれなゐの マリ…

encounter

あと数日。展示を見に行くのも最後だろう。銀座に決める。特別人が混み合うこともないし、華やぎがある。モノクロームの濃淡のある水玉のワンピース。気持ちも体もぐったりと重たい。横になってしまいたい。縦を横に。重力に従って。でも、行かなくちゃいけ…

ストロベリーショートケーキ

いまはきっとこえがとどかないとおもうけどさゆりちゃんがてをはなさないかぎりぼくはそばにいるつもりだよ 醜い醜いケダモノは甘い甘いイチゴショートになる必要があった。真っ白い生クリームに真っ赤なイチゴ。ショーケースに並んだ甘い甘いものたちからた…

the blue lady

昼間カーテンにいた蜘蛛が夜にトイレの壁にいて、今朝またトイレの床にいた。一体何を食べて生きているのか。見えない虫でも食べているんだろうか。もう何日も顔を合わせている蜘蛛はみな同じ蜘蛛なのか。昨夜Nと交わしたラインはひどく事務的だった。眠かっ…

cinema

昼間でも薄暗い 湿り気を帯びている びしゃびしゃになったあの記憶 あの水はどこから来るの 薄暗い場所で薄暗い場所に 伸びる誰かの手 昼間はくそくらえ 森の中 周りには誰もいない あなただけ 水が溢れる 流れるスクリーン ジャズが流れて タバコぷかぷか …

レバー

肝臓 英語 liver ,ドイツ語 leber 生きるってなんだろう。あなたが生きてるから私も生きてる。 反射でしかない 夜中に怖い夢を見た。食べるものがない。冷蔵庫の中を見てもなんだかいろいろ詰まっている様子なのに食べるものがない。怒った私は包丁を手に取…

甘い水

雨の日は匂い立つという。甘い香り。 私にとって媚薬の効果になることに気付いた、エルメスのH24をつけていなかったから物足りなかったのだろうか。 待ち合わせの時なかなか会えなくてそこから不安は始まっている。傘が頭に刺さりそう。 夏がひと息に終わっ…

海岸での対話は長すぎる

海岸での対話は長すぎる ヨーゼフ・ボイス「シベリア横断鉄道」冒頭 入院前会うのは最後になるかなという予定もあったがまた来週も会える予定。散々行きたい行きたいと言っていた渋谷のモナトリエに行けて満足。ひとつひとつが個室めいてるのでよくわからな…

dog

会う前日の息切れ。 二週間なんて短いのに長い。 こんなに会えると思わなかった。Nには少し翼がある。 マメと言うならマメと言うんだろう。娘にも執事っぽいと言われてるとか。 あなたは、何? アルコールを入れないとうまく話せない。 早く入ってきて 犬と…

blind

コーラー 視覚障害者によるスポーツのうち跳躍や投擲種目などで選手に声や音で情報を知らせる人 どうしてこんなにも中に入ってかき回すんだろう あなたの書いた文字をゴミ箱から拾い上げて まだ描かれる前の あなたがペンを持つ前の 私の中に入る前の 一体な…

夕まぐれして失せにけり

サーモンピンクの敷物に落ちるシャンパングラスの影。いつもの小さな茶碗蒸し。テーブル席にひとりの男性客。隣の50代ぐらいの男性にはあとから若い女性が来た。この店で女の一人客はまだ見たことがない。地下への階段をよっこらしょと降りていく。私はいつ…

spirit level

spirit level アルコール水準器 昨日パン屋で食パンを買えたから久しぶりのトースト朝食。焦げ目がいつもと違った。 昼に解凍しておいた干物を焼いて 何か適当に作るとたまにゲテモノみたいのができる 長野の太陽というプラム 梅干しを食べた時も残ったタネ…

デュシェンヌ・スマイル

デュシェンヌ・スマイル 19世紀のフランスの神経学者 デュシェンヌが筋肉の動きから定義した「真の笑顔」 がんばった、と独り言いってすやすやと眠りに落ちたNはかわいかった。十こも上のおじさんなんだけど。電車の中で来週のサザエさんは〜と小声で言って…

sweetest

テレビを消すと秋虫の声が聞こえる。もう秋だ。 Nと初めて会ったのは10月だった。秋のこと。 くだらない思いは捨てて みんな死ぬんだよ 帰りの重たい電車に乗って 君は死ぬんだよ 甘い冬の思い出 はちみつ大根をつくった ずっと喉が痛いから 白い大根の溶け…

nativity of time

木曜日は掃除の日 クイックルワイパーとトイレとお風呂場と 掃除機と洗濯と 重曹とアルコールスプレー いつもより念入りに掃除できて気分がいい 汚れは溜まっていくから 朝、猫が外にいて 窓を開けたけど入らなかった そんなに長く待ってられない でも朝君を…

ataraxia

ataraxia アタラクシア、心の平静不動な状態。 通ってる病院のすぐ近くには昭和記念公園があって、ほとんど病院に行く度に散策している。全部歩こうと思ったら一日がかりになりそうなほど広大な公園。 門を入って目の前に広がる緑。だだっぴろい緑鮮やかなく…

自己貯血

自己血輸血 手術を受ける患者自身の血液を輸血に用いる治療法 朝、駅に着いたら人だかり。人身事故で電車が止まっていた。慌てて乗り換えアプリで何か時間に間に合う方法がないか探す。タクシー乗り場は長蛇の列。検索に出てきたあと数分で出発予定のバス。…

東京日記

朝5時くらいに目が覚めても起き上がるのは6時半とか7時とか。筋トレもサボっている。太陽礼拝だけは欠かさずやる。 書いているのは晩酌 ラインが来るのを待っている。それまではひとりの時間。 朝はレーズンが渦巻きみたいなパンをカリカリに焼いて食べた。 …

そこにいて、そこにいない

お腹の痛くなった夜、帰りの電車で別れ際、手を握って口付けた、その手は私のようで私でない。そのシーンを繰り返し思い出す。前の席に座っていた女性はちょっと戸惑ったような顔をしていた。気のせいかもしれないけど。 夜中に車の中でしばらく握られていた…

per fumare

per fumare 煙を通じて 朝食。コーヒー、ミニトマトとルッコラとゆで卵のサラダ、ヨーグルトに蜂蜜、ミューズリーに豆乳。金曜日にパン屋に行ったら食パンが売り切れだったから代わりに他の食事系のパンを買ったけど、いつものトースト写真が撮れない。 広瀬…

酔っ払い

みんな煙草を吸っていた 格好つけるために 球場で酒を覚えた 傾斜を転げ落ちそうになって 君に拾われた 今じゃいっぱしワインと ウイスキーと日本酒と 君を見つめていたいから 抵抗できないほどの 力しか残っていなくても ダイヤのネックレス 捨てるわけにも…

花づな

エコー検査した結果、卵巣出血だった。しばらく安静にしてればおさまると言われた。調べたら排卵日後から生理前の間に起こるらしく、生理前のセックスは気をつけた方がいいのかも。Nのは奥に届くから。 小さめのエコー写真、もっとよく見ておけばよかった。…